ではDの音を基準にしてもいいのか?
前回の「曲のキーとは何か」のつづきである。
「それじゃあ、Dの音を基準にして1番目にしてもいいの?」と素朴な質問をしてみた。
なんとなくキーについて、ハ長調について、C調についてが理解できつつあったところに、そんな疑問を投げかけてみたのだ。
「もちろん、いいよ。それがD調になるわけだし、EでもFでもいい。」とお兄さんは言った。
「C調の時と同じように、今度はDの音を基本にしてみればいい。DEFGABCDだよね。レミファソラシドレ。また音階に番号を付けてみよう。」
とお兄さんがそう言うとまた紙に書き始めた。
「Dが1番、Eが2番、Fが3番・・・となってCが7番になって、8番目にまたDに戻ると。」
1 2 3 4 5 6 7 8
D E F G A B C D
レ ミ ファ ソ ラ シ ド レ
「ただこれだと、まだ不十分なんだ。」お兄さんが付け足した。
長調のお約束が重要に
「さっきの、3と4の間と、7と8の間が半音になっているってこと、これが重要になってくるんだよね。」と、さらに補足した。
なになに、ちょっと難しくなってきたぞ。どういうことだろうと少し考えてみた。
「このままだと、ミとファの間が半音だから、2と3の間が半音だよね。同じように、シとドが半音だから6と7の間が半音になる。これだといわゆるD調にはならないんだよ。」とお兄さん。
「長調になるためには、あくまでも3と4、7と8が半音で、それ以外は全音にする必要がある。そこで、ある仕掛けをしていくんだ。」とさらに続けた。
「仕掛け?」と、つい反射的に自分が繰り返していた。
「例えばここでこの3番目のファにシャープを付けてみる。そうすると、2と3の間が全音になるでしょ?」とお兄さん。
「うん。確かに。2と3が、ミとファだったから半音だったけど、ファがシャープになれば半音上がるから、2と3は全音に・・。」と言いかけるとお兄さんが畳み掛けた。
「そうそう。1と2はもともと全音、2と3がファのシャープにより全音になる。3と4の間は?」と問いかけた。
「えーと、ファがシャープになったから、3と4は半音になる。・・あっ」と驚きの声をあげてしまった。
「そう。ファがシャープになったことで、一石二鳥なんだよね。長調のお約束というか条件に合った。そして同じように、ドをシャープにするとどうなる?」お兄さんが嬉しそうに続ける。
「6と7が半音だったけど、ドがシャープになることで6と7の間は全音に。そして7と8が全音だったのに半音になる!」ちょっと嬉しくなった。
D調の完成
「そう。この、レミファソラシドレという音の並びはそのままだと長調の並びにならないけど、ファとドをシャープにすることで長調の並びになるんだよ。これがD調。紙に書き直すとこう。」と言ってお兄さんはペンを持った。
1 2 3 4 5 6 7 8
D E F G A B C D
レ ミ ファ# ソ ラ シ ド# レ
「これで3と4の間と、7と8の間が半音になって、あとは全音の間隔になるね。」と続けた。
「なるほどー。」少し感心してしまった。
さらにお兄さんが「じゃあちょっとこのD調の音階をギターで鳴らしてみるよ。」と言って弾いてみてくれた。
「レ、ミ、ファ#、ソ、ラ、シ、ド#、レ」とギターで弾いてくれたようだ。
「どう?ドレミファ・・・みたいに聞こえたでしょ?」とお兄さん。
「うん。」と自分。
「でも、本当のドレミファソラシドはこうだよ。」と言うとお兄さんはドレミファソラシドを弾いてくれた。
少し低い。でもこれこそがドレミファソラシドだ。
「もう一度、D調を弾くよ。」と言ってまた弾いてくれた。
確かに、少し音が高くなったものの、「ドレミファソラシド」の響きというか音同士の間隔は同じだった。
「これがDの音を中心としたD調、Dメジャー、そしてニ長調なんだよ。」と補足してくれた。
つづきは「D調のスリーコードは?」へ
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