1弦の音が狂ってきた

前回の「コードチェンジと起立・礼」からのつづき。

Cコード、G7コード、そしてコード・チェンジを習い、「起立・礼」をひたすら練習していた。

するとお兄さんが

「1弦、音が狂って来たかな。」

と言って、自分が使わせてもらっていたギターを手に取り、何やらチェックし始めた。

「音が狂うと、和音も綺麗に響かないんだよね。」

と、しきりに弦の音のチェックをしている。

「ギターはチューニングが大事だから。」

と言うと、6本の弦を順番に確認し始めた。

チューニングでギターの音を合わせる

お兄さんの説明によると、ギターを弾く前には必ずチューニングをする。

また、しばらく弾いていても弦の音程はズレてくるので、定期的に確認するということだ。

チューニングの仕方はいろいろあって、器具や機械を使う。

基準となる音の弦をまず合わせてから、他の弦を調節していく。

平成時代の今はもう、それこそチューナーというギターの音を合わせる専用機も安価で入手可能だし、スマホのアプリも無料で手に入る。

でも昭和の頃は、もっと原始的な方法が使われていたのだ。

音叉といって、金属の二股の器具があり、それを叩くと一定の音程が確認できる。

たいていは440ヘルツの「ラ」の音が出るものが主流。

これをギターの5弦で音程を合わせてチューニングするわけだ。

ギターの5弦も「ラ」なので、1オクターブ高い音叉の「ラ」とうまく合わせていく。

二股の部分を硬いものにぶつけ振動させ、柄の部分をギターの本体に当てると「ラ」の音が響くので、それを頼りに調節する。

5弦を基準にして他の弦を合わせていく

5弦が正しい音になれば、今度は5弦を基準として他の弦と調節していく手順となる。

ギターの場合は隣同士の弦が、だいたい5フレットで合うようになっている。

例えば6弦の5フレットは「ラ」なので、このまま5弦の開放弦と比べることができるわけだ。

同じように5弦の5フレットは「レ」になるので、4弦の開放弦と同じ音になり、これを調節する。

4弦の5フレットは「ソ」なので、3弦の開放弦と合わせることができる。

このように、実際にフレットを押さえた時の音を確認しながらやると、同じ音同士での調節だということで非常に納得がいく。

理にかなっているわけだ。

3弦は4フレットを押さえる

ただし、3弦だけは5フレットではなく4フレットだ。

3弦の4フレットは「シ」なので、2弦の開放弦で合わせられる。

最後に2弦の5フレットは「ミ」なので、1弦の開放弦と調節できることになる。

これらは実音、つまり実際にギターのフレットを押さえた音による調整法だ。

ほかに、「ハーモニクス」といって、弦を押さえるのではなく、「触れる」状態で弦をはじく方法がある。

これは、鐘のような「ポーン」という響きの高い音が出て、二つの弦で鳴らした時にできる「うねり」を小さくして調節する方法だ。

例えば6弦の5フレットのハーモニクスと、4弦の7フレットのハーモニクスが同じ音となる。

二つほぼ同時にならして、弦の張り具合を調節していくのだ。

低い音からペグを巻き上げて音を合わせる

弦をねじのように巻き取る部分を「ペグ」というが、巻きが強ければ弦は張って高い音に、弱ければ弦はゆるんで低い音になる。

チューニングをする際は、低い音から「巻き上げる」ことで調節するといい。

「巻き下げる」と狂いやすいそうだ。

というような解説をお兄さんがしてくれた。

ほかにも「ピッチパイプ」といって、ハーモニカ風の音が出る器具を使い、ギターの弦の1本1本に対応した音で合わせていく方法もあるとのこと。

実際にその器具を見せてくれた。

ただ、チューニングの大切さは理解できたけれども、その時の自分の頭の中はコードチェンジのことで一杯だった。

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